no is e

この世界のすべては、雑音で出来ている。

X-MEN ダーク・フェニックス

アベンジャーズに比べてX-MENは人気がないらしい。というか、シリーズを重ねるごとに前者が上がり目に、後者が落ち目になっていったようだ。

その理由はなんとなく分かる。X-MENのストーリーは大体暗く、爽快感はなく、ラストに救いがない。最新作の「ダーク・フェニックス」もまさにそんなシリーズの特徴を体現するような作品だった。

何よりも、レイヴンがあっさりと退場してしまうのには驚いた。それも、さしてドラマチックとは言えないシーンで。ジーン・グレイの運命は仕方がないものなのかも知れないが、心の片隅でもっと甘い結末を望んでいたことは事実だ。

そうしたストーリー上の要因だけではないのだろうが、アメリカでの興行成績は散々だったらしい。批評家の評判も芳しくなかったようだ。

それでも、個人的にはこの作品が気に入っている。巷間言われているようにシリーズの(ひとまずの)区切りとなるにふさわしい作品かどうかは何とも言えない。しかし、自分がX-MENに望んでいるもの(葛藤、運命的な重荷を背負った者の苦悩、負の感情とその克服)は大体あったし、よけいなものはほとんどなかった。そして、ラストのチェスのシーンについてだけ言えば、当面の幕引きにふさわしいものであったと言える。

わざわざ2時間という時間と2,000円の対価を払って登場人物たちの葛藤や苦悩に付き合うのは、多少の覚悟がいる。疲れているときは特にそんな選択はしたくない。

しかし、苦い料理の乗った皿も並べておいてくれないと、食卓は味気ないものになってしまうだろう。多少無理をしてでも時々苦々しい料理を口にする人生の方が、自分には好ましいもののように思える。X-MENは、自分にとってちょうどよい苦みを与えてくれたのだ。願わくば、そんなテイストを残したままでどうにかシリーズに存続して欲しい。